かつて東洋一の硫黄鉱山、雲上の楽園と称された旧松尾鉱山の歴史を辿る旅。 #八幡平市 #硫黄 #鉱山 #中和処理施設 #赤川

最終更新: 1月6日

 八幡平市の名称にもなっている山岳「八幡平」の頂上へと車を走らせていると、右側に「DOWA中和処理施設」という看板が見えてきます。この看板は八幡平の数あるスノーシェルターの中の「学習院前スノーシェルター」をくぐると間もなく見えてきます。この中和処理施設の看板を左折して頂くとすぐ左側には「旧・学習院跡地」があり、そこからすぐのところの右側には、朽ち果てたアパートがいくつも見えてきます。この場所が「旧松尾鉱山」です。




雲上の楽園と称された東洋一の硫黄鉱山


 旧松尾鉱山はかつて、雲上の楽園と称された東洋一の硫黄鉱山です。昭和初期のころまで稼働していた松尾鉱山は、現在の八幡平市である旧西根町・旧松尾村・旧安代町の3町村の人数よりも多い、3万人以上の方々がこの場所に住んでいました。


 この鉱山で働く方々とそのご家族の為に住む為のアパートが建設され、その方々の為に食材や日用品を販売する業者の方が山へと登り、芸能人や有名人を呼んでコンサートなどを行う為の公会堂が建設され、病院が建設されてというように、正に至れり尽くせりの場所でした。それほどの繁栄を見せていた松尾鉱山も時代の流れとともに硫黄に変わるエネルギー源の出現により、現在ではすでに閉山されています。




すぐ近くには旧・学習院跡地


 松尾鉱山のすぐ近くには旧・学習院八幡平校舎跡地があります。現在は建物は壊されておりますが、八幡平線を登って松尾鉱山方面へ左折して頂くとすぐ左側にあります。敷地内には跡地を示す案内が立っておりますので、その場所に行って頂けるとどなたでもわかりやすいと思います。


 この場所は春から初夏にかけての春の観光シーズン及び秋の紅葉シーズンになると、全国から数多くの旅行客やバイクツーリングの愛好家の皆様で賑わう場所となっています。中には路上に駐停車をしている方もいらっしゃいますが、きちんと定められた場所に駐停車をして、他の方々の迷惑にならないようにして頂きますようにお願い致します。




現在でも残る旧松鉱山の負の遺産「赤川」


 旧松尾鉱山から流れ出る水は「鉱毒水」と言われ、強い酸性の水になっています。この酸性濃度の水の中では生物が生命を維持して行くことは困難となりますが、現在でも北上川水系の「赤川(あかがわ)」という川になって流れ出ています。現在でもこの赤川が本流である北上川に合流していますが、昔は北上川に「生き物がいなくなった。」とか「死の川」とも言われたことがあったそうです。


 現在でも赤川の名前の通り、場所によっては川が銅褐色に染まった川原を見ることができます。現在では県の予算を投入し、中和処理施設が稼働して強酸性水を中和してから川へと流しており、自然の生態系が戻りつつあります。





山から硫黄を運んだ汽車の線路跡


 松尾鉱山から掘り出された硫黄を運ぶために線路が敷かれ、その汽車によって麓まで運ばれていました。この線路に関しても、ひとつの企業の為に、数十キロにも及ぶ線路を設置するということ自体異例で、いかに松尾鉱山が栄えていたのかを物語るエピソードではないでしょうか。


 現在はすでにこの線路は撤去されていますが、線路を設置していた跡地が現在でも確認できる場所があります。これは地元の方でも知らない方も多くいらっしゃいますが、昔設置された線路の土手が現在でも市内でご覧頂けます。





 この線路は当時、八幡平から下り、今は無くなっている麓の屋敷台駅(やしきだいえき→現在の八幡平市柏台)を経由して松尾寄木(まつおよりき)、田頭(でんどう)を走り、現在の大更にあるドラッグストア「薬王堂 西根店」の裏へと続いていました。この八幡平市田頭地区で線路跡を見ることができます。


 下の写真の3枚がその線路跡になりますが、一番上の画像の田んぼの中にある木々が群生している部分、2枚目の写真がその木々の群生を近くで撮影したもの、3枚目の写真は黄色いハウスから伸びる木々が群生している土手がその線路があったとされる場所になります。






今では観光地のひとつとなっている


 この旧松尾鉱山がある場所が八幡平の頂上の手前だということから、現在では八幡平へ観光する際のひとつの名所となっています。ただでさえ八幡平という山は、春には近年有名になった秋田県の十和田国立公園内にあるドランゴン・アイと雪の回廊、夏には涼しいことからドライブコースとして、秋には紅葉の名所として、ほぼオールシーズンを通して多くの観光客の皆様や観光バスのルートになっていますので、年間かなりの人数のお客様が往来する場所になっています。その為か最近ではモラルやマナーが問題視されていることもあり、この旧松尾鉱山跡でも多くの路上駐車などが増加することで中和処理施設の職員の方々の妨げになってしまったり、現在は立ち入り禁止区域になっている鉱山跡地の間近まで立ち入る方がいたりと、大きな問題になっています。過去には雪の回廊と呼ばれる巨大な雪の壁に、カラースプレーで落書きをして、それをバックに写真を撮影するというとても残念なケースも起こっています。観光地はどこの地域でもそうですが、様々な法律によって指定を受けている場所がたくさんありますので、不法侵入罪や器物破損などの罪に問われる場合もありますので、最低限のルールを守って撮影などを行って下さいますようお願いします。