坂上田村麻呂伝説・巨大遺跡の可能性が示唆されている「長者屋敷」の湧水 #湧水群 #土器 #出土 #古代遺跡 #ロマン #伝説の地 #八幡平市

最終更新: 1月8日

 その昔、登喜盛(ときせい)という盗賊が裕福な家庭の娘をさらってきてこの地に幽閉し、各地から奪ってきた財宝を隠していた場所とされているのがこの長者屋敷です。その登喜盛の悪事を見かねた時の征夷大将軍であった坂上田村麻呂が、天皇より授かりし刀で登喜盛を討ち、血で染まった刀を長者屋敷の水で洗い清めたと言われる伝説が残っています。また、この山からはいまだに土器が発見されており、青森県の三内丸山遺跡をも超える巨大な遺跡、文明が栄えていたのではないかと言われている場所でもあります。昔から「水が豊富な場所には文明が栄える」と言われており、その可能性を示唆する物が多数出土されています。





道路から見える真紅の鳥居が目印


 長者屋敷は国道から少し奥に入った場所にあります。地域的には八幡平市松尾にあり、位置的には東北自動車道のパーキングエリア「前森(まえもり)PA」のほぼ真下の辺り(前森PAからは行けません)となります。


 国道282号線を八幡平市役所を左手に見て安代方面へと進んで下さい。八幡平市役所から約10分程度で左側に「積水メディカル」という製薬会社の看板が見えてきますので、そこを左折して下さい。左折後は上り坂になっていますので、とにかく道なりに進んで頂くと数分で左側に赤い鳥居が見えてきます。




奥に進むと長者清水


 駐車場に車を停車してもらい、上の写真の赤い橋を渡って頂くと石でできた鳥居が見えてきます。この石でできた鳥居のある場所が湧水になります。この長者清水は、地元の方の中には「めくらしみず」と呼ぶ方もおり、めくらしとは「目をくらます」という「盲目」のことを指します。


 私も実際に聞いたことはありますが、なぜそのように呼ばれているのかは定かではありません。もしかしたらこの地に幽閉された盛岡市(現在の盛岡市神子田)の富豪であった多賀康の娘の岩花が、暗闇に閉ざされ、周囲が見えない場所に幽閉されていたということからそう呼ばれているのかもしれませんね。また、龍神やヘビの神様を祀る場所となっている為に、それにちなんだ伝説のようなものも残されています。


 長者清水の水質は、カルシウム、マグネシウムを豊富に含む軟水で、地元の方の他に県内外からも汲みに来る方もおり、岩手の名水20選に指定されています。




綺麗な水質を利用したワサビ栽培




 長者屋敷からさらに上へと車で進むと、この綺麗な水質を利用してのワサビの栽培や直売が行われています。


 元々ワサビの水耕栽培は綺麗な水でなければ栽培することが難しく、水質はもちろんのこと、水温の変動が年間を通してなるべく一定であること、水温が15度前後であること、水量が豊富なことなど、水の質がワサビの質を決めると言われているほど重要な要素で「ワサビは水が命」とも言われています。


 現在は後継者などの問題によってやめてしまっていますが、この長者屋敷周辺には昔、渓流魚を育てる養鱒場も点在しており、今現在でもその跡地を確認することはできます。渓流魚の養鱒が行えるということはそれだけ水質がきれいで水量が豊富である何よりの証拠だと思います。




八幡平市は豊富な湧水の里


 八幡平市は河川が多く、水量も豊富な場所として知られていますが、実は湧水が湧いている場所も多く、地域によっては民家のど真ん中や道路沿いで湧いている場所もあります。これは山々に囲まれた地形の為、山からの伏流水となって噴出しています。この湧水は市民の生活に多くの恩恵をもたらしており、生活の為の水源や田畑へ農業用水として供給されています。人間は水が無ければ生きることはできない、水が豊富な場所には文明が栄える、そのように言われるほど、私たち人間にとって水はとても密接に生活に関わっており、まさに「命の水」なのだと思います。ぜひ八幡平市を訪れた際には、綺麗な湧水に触れてみて下さい。

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